バニラスカイに溶けた

アイドルは劇薬だと思うんだ。

CARPE DIEM!

まだ心は新国立劇場中劇場にあるし、気がつけば頭の中でウェルトンの校歌とヌワンダのバラードが交互に流れてる。全然ロスから抜けられないし、サマパラ終わった時もしばらくロスだったから、きっとこれは次の現場があるまで続くんだろうと思う。(しかし帝劇のチケはない。)

 

舞台が決まったのを聞いた時、難しそうな内容だと思って、とりあえず原作の映画のDVDをレンタルしてきて見たんだけど、その時の初見の感想は「毒親滅べ…」だった。これは個人的なことになるけど、自分の家庭もまあそれなりに毒親なので、どうしてもニールに対して一番感情移入してしまった。「お前のために母さんと父さんは〜」って自分も言われたことあるよ、同士かよと。親に対してこういうことを言うのは失礼なのだろうけど、親に自分のことを認めてもらえないのって苦しいし悔しいし、そりゃあ自殺するのも分かる…って思った。自分はフィクションと分かっていれば割と悲劇でもフラットな気持ちで見られるつもりでいたけど、今回の内容は何度も見るのがしんどそうだぞ…とここで覚悟した。本当はまっさらな状態で舞台を見れたらよかったんだろうけど、きっと自分は初見だとぼろぼろに泣いて憎しみで正気でいられない気がした。

小説もあると知ったので小説も中古本で取り寄せて読んでみた。映画と多少異なる部分はあるけれど、特に気になったのが、ノックスとクリスの関係が映画よりも大胆に描かれていて驚いた。小説版のノックスはクリスの胸を触るよ…。あと最後の校長にトッドが呼ばれて署名をするシーン、舞台と映画では署名するけど、小説だとトッドは署名しないんだよね。どちらかというと個人的にはこっちの展開の方が好きだったからそのバージョンも見たかったなあ。特に印象に残ってるのは、ニールが真夏の夜の夢の舞台に立つ前後のキーティング先生の描写なんだけど、ニールの芝居を観る前はニールの芝居の実力に対して半信半疑なんだけど、観終わった後にニールの芝居の才能に気付くんだよね。そういう、舞台だと分かりにくい細かい部分も、小説で描かれていたりするから参考になった。

舞台に関する雑誌やテレビ番組の露出が増えて、初めての外部舞台に慣れてなくて不安を漏らすうみさんを、しめちゃんと宮近くんがそれぞれ見守ってるのが伝わってきて可愛かったのを覚えている。うみさんのインタビューがどれも初々しくて可愛かった。この時の印象だと崇人くんはお兄さんって感じだったし、アミュ組の2人は若いなあと思った。終わった今だから確信を持って言えるけど、今回の舞台に選ばれたのがこのメンバーで良かった。

絶対内容がしんどいだろうから前半と後半で行けばいいかと思っていたけど、実際に観たらあまりに面白くて衝動的にチケを増やしていた。オタクあるある。この“面白い”というのは、自担の出番が多いとか、ストーリーが面白いという要素の他に、脚本が良いとか、演出が良いとか、セットや照明などの美術が良いとか、そういう意味で“面白い”と感じた。ジャニ舞台にありがちな、大掛かりなセットを使って表現するのもそれはそれで面白いと思うけど、シンプルなセットの中で限られたものを使って(今回の場合は机と椅子)シーンを切り替えて表現するのも面白くて好きなので、見ててテンションが上がった。場面転換の時に曲に合わせてそれぞれが小道具を動かしてるのも見てて面白かった。音楽も、ピアノとチェロの生演奏って贅沢だし、曲がどれも良くて、頼むからサントラ出してくれ〜!と切実に願ってる。どこに要望出せば良いんだろう。脚本も、台詞の紡ぎ方が丁寧で良かったから、覚えきれなかった細かい部分を知りたいし、戯曲が読みたい。金なら出すから買わせてほしい。そしてパンフも良かった。キャストの写真とインタビューが載ってるのはよくあるけど、劇中に登場する詩の解説とか、当時の時代背景をまとめたページとか、そういう部分に焦点を当てて詳しく載せているのって珍しい気がする。パンフ読んでから舞台を見ると、中身をより理解しやすくなった。

映画を見たときに気になっていた点が1つあるんだけど、この物語って「自分の考えを持つこと、夢を追うことは大切だ」ということがテーマなのかと思ったけど、結局ニールが自由を得られず自殺したのなら、所詮夢は夢であって、人生においては堅実な方法をとることが大事だということなのだろうか、だとしたらテーマが矛盾しているのでは?と思った。

けれど何度も観劇して自分なりに考えてみて、確かにニールが自殺したのはバッドエンドなのかもしれないけれど、自ら死を選んだということも、ニールなりに今を生きたということなのだと腑に落ちた。夢を追いかけることも、将来を見据えて堅実な道を選んで進むことも、生徒それぞれの選択が今を生きた結果なのだと思った。

そういえば舞台の合間に、観劇三昧*1で上田一豪さん作演出のミュージカル「Play a Life」を観た。舞台の重要なキーワードにいま生きの映画があるから観たんだけど、シンプルでメッセージ性がはっきりしてて、観終わった後に余韻が残るような作品だった。生死観がテーマなのかな。これも同じくピアノが生演奏で、ミュージカルの音楽が素敵だった。出演者が3人しかいないけど、3人とも歌が上手くて圧倒された。それと舞台の両サイドに椅子があって、そのシーンに出演しないキャストは椅子に座っているんだけど、いま生きの演出と同じだ〜と思いながら見ていた。

せっかくだから「真夏の夜の夢」の戯曲も読んでみた。会場に移動する合間にささっと読める文量でちょうどよかった。読んだ後だと、舞台の台本を読んでいるときにどのシーンなのか分かるのが面白かった。*2ニールが演じていた妖精のパックは、寝ている人の瞼に、花から作った媚薬を垂らすイタズラをするんだけど、媚薬を垂らされた人は眼が覚めると最初に視界に入った人のことを好きになってしまうという。普段は優等生なニールがこんな可愛い役をやってると思うと可愛いし、宮近くんがこれを演じていると思うと尚更可愛い。ニールじゃなく宮近くんとしてパックを演じるのが見たいから、いつかそういう機会があればいいなあと思った。

今回特に感じたのは、スタッフの方(Twitter等で分かる範囲だけど。)もキャストがみんな良い人ばかりで、あたたかいカンパニーだったということ。言い方が悪くなるけど、外部舞台って現場によって扱いの良し悪しが変わってくると思っていて。良し悪しというか、熱の入れようというか。今回の舞台はキャスト含む作り手からの「良い作品を作りたい」という熱が随所で感じられて、そんな作品に自担が参加していることが嬉しかった。

宮近くん。私は今まで宮近くんの陽の部分ばかりを見ていたのだけど、今回は宮近くんの陰の部分を始めてきちんと見た気がする。あくまでお芝居での話だけど。基本的にアイドルでいる時の宮近くんは8日100%だと思っているから(コンサート中に宮近くんが泣いたことは何度かあるけど、それはまあ状況が状況だから不可抗力として。)、ああやって苦しんで追い詰められている宮近くんを見たのは新鮮だった。宮近くんは役を自分自身に引き寄せるのが上手いと思っていて、ニールの中に宮近くんが透けて見えているような感覚だった。「僕が運命の支配者だ!」の台詞は毎回鳥肌が立ったし、その後の展開を考えると怖くなった。キーティング先生の部屋で相談するシーンとか、最後のパックの台詞を言ってから銃を自分に突きつけるシーンとか、見てて辛いのに、同時にその姿が綺麗だなあと思っていた。宮近くんが苦しんで涙を流してる姿は綺麗なんだよね。フィクションだからこそ、客観的にこう思えるんだろうけど。キーティング先生の部屋で相談するシーン、芝居のことを父親に話すように説得するキーティング先生に対してニールが「ありえない」って言った時に、目から涙が零れ落ちたのを見て、思わず溜息が出た。シリアスなシーンが多かったから、カテコで笑顔の宮近くんを見て、いつも安心していた。発声とか表情とか、去年の12月と比べて上手くなったと思うんだ。繊細な表情の揺れ動きがリアル。声色の抑揚が上手いよね。お芝居する宮近くんをもっと見たいから、これからも定期的に外部舞台のお仕事があればいいなあと願っている。

しめちゃん。全体的にシリアスな物語の中で、ひと息つけるような空気を担っていて、いい意味でマイペースで見ててほっとできた。原作では割と過激なシーンが多かったからどうなることかと思ったけど、舞台だとかなりマイルドな印象になっていた。お芝居の話になるけど、生徒役の他の俳優さんと並んでも違和感がないくらい馴染んでいて驚いた。ストイックに努力してる結果なんだよね。しめちゃんはリアクションの演技が上手いなあと思う。なぎちゃんと並ぶと、ああしめちゃんって男の子なんだなって思って、少しどきっとした。目がキラキラしてて、ノックスってクリスに恋してるのはもちろんだけど、恋に恋してる部分もあると思うんだ。基本的にいつでもニコニコのしめちゃんが、最後の教室でキーティング先生を見送るシーン、ぼろっぼろに泣いてて、ああやって感情を露わにするしめちゃんを見たのは初めてだったから、見てて心が揺さぶられた。

うみさん。初めての外部舞台で、正直最初はどうなることかと思ったけど、そんな心配いらないくらいしっかりと役を仕上げてきたのは流石だと思ったし、改めて、やる時はやる人なんだと頼もしく思えた。うみさんのキャメロンは回を重ねるごとにどんどん良くなっていくのが目に見えて良かった。初週は正直滑舌に違和感があったけど、後半からは滑舌も気にならなくなったし、言い回しも上手くなっていったと思う。うみさんは表情のお芝居が上手いよね。難しい役だったと思うけど、きちんと自分なりの解釈を持って役に挑んでるのが素敵だった。映画でも小説でも、キャメロンは人物像がふわっとしてるように感じて、何考えてるのか分かりにくいと思っていたけど、舞台では見終わった後にキャメロンのことが愛おしく思えたんだよね。うみさんの役に対する姿勢が見てる人に伝わったんだと思う。最後の教室のシーンの表情は、毎回胸を締め付けられるような感覚になった。千秋楽のトッドの部屋に入ってくるシーン、「あいつがこの責任を取るべきだと思うよ」の台詞で詰まったのが、涙声でリアルで、見てて鳥肌が立った。うみさんのお芝居もっと見たいなあ。

崇人くん。演技が上手くて安定感があって、生徒役で年長だったからきっと周りを引っ張ってくれたんじゃないかと思うんだけど。まず顔が圧倒的に綺麗で、初めて生で見た時に驚いた。笑うと更に可愛い。トッドが出っ歯の狂人を読むシーンは毎回新鮮に圧倒されたし、部屋でニールの死を聞いて泣き崩れるシーンは何度も胸が痛くなった。お芝居で人を感動させられるってことを、崇人くんの演技から感じられた。ツイートやブログを読んでいて崇人くんの書く文章か好きだなあと思った。文章から賢さが滲み出ていて、センスがあるよね。マグカップのシーンは自分も好きです。トッド役が崇人くんで良かった。舞台が始まる前から、そして公演が終わってからもずっと、トラジャの近況をいい塩梅で伝えてくれてありがとう。宮近くんの相棒でいてくれてありがとう。これからも定期的に会って欲しい。そして数年後にまた宮近くんとお芝居で共演してくれたら嬉しい。ちゃかとは永遠。

晟周くん。始まる前は正直、顔と役の名前が一致していなかったんだけど、最初に校歌を歌うシーンで登場した時、立ち姿とか歩き方とかを見て、一瞬で「この子オタクだ」と思った。台詞がないのにキャラクターが見てて伝わるってすごい。ミークスとノックスのコンビが可愛くて好きだった。ミークスって話の本筋に大きく関わるということはないけど、細かい部分にお芝居の技が効いていて良いスパイスになっていたと思う。芸歴長いだけあって演技上手いなあと。洞窟のシーンでクリスのポスターを一人でガン見してたの可愛かった。千秋楽の最後の教室のシーンに、暗転した後にもう一度照明がついたら、目真っ赤でウルウルしてるまま、崇人くんやしめちゃんと目を合わせてニコって笑ったのを見て、終わってしまったんだなあと級に実感が湧いてきたんだよね。お芝居の熱の入り方に圧倒された。

田川くん。プレミアの巣窟のVTRで見たときは人見知りなのかと思ったから、チャーリー(ヌワンダ)を演じてて、素の時の面影がなくて驚いた。当たり前のことを言うけど役者さんってすごい。パンフレットで年齢を確認して更に驚いた、現役高校生…!?大人っぽいと思ったけど、カテコの時の表情は初々しくて、そっか最年少か…と思った。ディズニーシーでのエピソードも可愛かった。雑誌のインタビューで今回の役について「自分の性格を変えるくらいの気持ちで挑む」みたいなことを話していたから、きちんと意識して演じていたんだろうなあ。もっと田川くんのお芝居が観たいと思った。去年のロズギルに出てたみたいなので、もっと早く知っておけばと今更後悔している。

なぎちゃん。あえて大げさに言うけど、出てきた瞬間からビジュアルが可愛くて天使かと思ったし、話した瞬間その声を聞いて天使だと確信した。しめちゃんと並んでも分かるくらい、お顔が小さくてお人形さんみたいだった。ノックスが一目惚れするのも分かる。芝居のシーンで手を繋いでいるノックスとクリスが可愛くて毎回見ながら癒されていた。クリス役がなぎちゃんで良かった。なぎちゃんの声好きだから、声優とかナレーションのお仕事が今後増えたら嬉しいなあと密かに願ってる。

隆太さん。カテコで生徒役の子たちから胴上げ?担がれていたのを見て、本当に先生みたいな存在だったんだと思った。昔から何度もテレビドラマで拝見していたけど、生で見るとお芝居に安定感があって、ベテランの役者さんってすごいと改めて実感した。最初はキーティング先生が生徒たちにとって憧れの存在なんだろうと思ったけど、見方を変えるとキーティング先生もまだ教師としては経験が浅くて、未熟で手探りだった部分があったんだろうと思った。きっと生徒たちに伝えたかったことがもっと沢山あったんだろうし、けれどあの授業のやり方が全て正しいともいえないし、理不尽な理由で夢半ばにして学校を去らなければいけなかったキーティング先生の気持ちを考えると胸が痛くなった。

初台駅の強すぎるホーム風も、座り心地が悪すぎて暗転の度に座り直した硬い椅子も、少し乾いた秋の空気と共に良い思い出になりました。観終わった人の感想を検索して、色々な解釈を読むのも楽ししかった。舞台が終わった後に初台駅から京王新線に乗ろうとすると、さっきまで貼ってあったポスターが貼り替えられていて、それを見て改めて終わってしまったことを実感して寂しくなった。エモいという言葉で片付けるには勿体ないくらい、良い舞台だった。芸術の秋を堪能したなあ。本当にお疲れ様でした。

*1:アプリDLして980円課金すれば舞台作品が見られるので、気になった方は是非。

*2:余談になるけど、後半にトッドと2人で部屋で台本を読んで練習しているところは、パックがいたずらを仕掛けようとして人間をおびき寄せているシーン。その前にオーディションのチラシを持ってきてニールが台詞を言っているのは、男2人が女を巡って戦うシーンな気がしたけど記憶が曖昧なので誰か教えてください。魔法が解けた後の人間の台詞も言ってた気がするけどそれも記憶が曖昧。