バニラスカイに溶けた

アイドルは劇薬だと思うんだ。

地方出身アイドルと地方住みオタクの話

自分の地元に好きなアイドルがコンサートで来るのは嬉しい。関東圏と違って、こんな田舎にアイドルがコンサートで来るなんて、ツアーがある場合は半年から一年に一度だし、ツアーが定期的になければいつ来るのかすら分からない。いつもは新幹線や飛行機を使い、時間をかけて会場に行くが、電車やバスだけですぐ会場に行くことができる。*1いつもの見慣れた地元の駅に、ツアーグッズを持った人たちが歩いている光景を見るとわくわくする。何より、自分が好きなアイドルが、自分のすぐ近くにいると思うと、少しだけ浮かれた気分になる。まだ自分が学生で現場にほとんど行けなかった頃、地元にアイドルが来るということは、ちょっとしたお祭りのようなものだった。

 

先日、私の地元で某ジャニーズアイドルのコンサートがあった。自分は都合がつかずその公演は行かなかったので、終演後にツイッターでレポや感想を探した。するとその中に、東京から遠征に来た人の呟きで「ホテルに戻ってテレビをつけてもチャンネルが少なくて、見たい番組が放送されていない。東京からも遠いし、こんな田舎には住みたくない。来なきゃよかった」というものを見つけた。
地元に好きなアイドルが来るということは自分にとっては嬉しい出来事だったのに、その呟きを見て一気に悲しい気持ちになった。アイドルのオタクをやる上で、地方に住んでいるということは圧倒的に不利だと思う。コンサートやイベントのほとんどは関東圏で行われていて、その為にお金と時間をかけなければならない。むしろお金と時間をかけて行かなければ、好きなアイドルに会うことができない。番協も無縁だし、テレビやラジオ番組は「一部地域を除く」と表記されて放送されない。自分はどうしても、東京に住んでいる人に対してコンプレックスを抱いているし、地方の田舎に住んでいるということが嫌になる。学生の頃はお金がなくて現場に行けなくて悩み、社会人になった今は同年代の人たちが次々と結婚して家庭を持っていくことに焦りを感じている。なんとなく自分の体感だけど、東京の人に比べて、地方の人の方が就職も結婚も早い気がする。そんなに言うなら東京に出てくればいいじゃん、と言われるだろうけど、自分の家庭の事情とか、金銭面とか、壁は高い。
オタクを続けていて地方に住むということが何一つプラスに捉えられなかったけれど、それを変える出来事があった。地方出身アイドルとの出会いだった。私の推しであるモーニング娘。石田亜佑美ちゃんは、仙台出身である。元々仙台のロコドル*2だった彼女は、2011年に初の東北出身メンバーとしてモーニング娘。に加入。いつからなのか具体的には分からないが、モーニング娘。のメンバーの地元公演は「凱旋公演」と言われ、アンコール時はそのメンバーの色のサイリウムが会場一面に染まる。私は何度も彼女の凱旋公演である仙台公演に行っているが、一面青のサイリウムで染まる会場は何度見ても綺麗だと思うし、公演の度に客席に「ただいま!」と言ってくれることが、同じ地元出身のオタクとして嬉しい。2014年からは地元のローカル番組でレギュラーのコーナーも担当するようになった。彼女が「昔よく行っていた想い出の場所」と紹介すれば、そこがオタクの聖地巡礼スポットになり、「大好きな地元の名産品」と紹介したものは、オタクがこぞって買って、おいしいと感想を呟いてくれる。マイナスにしか捉えられなかった地方の田舎という場所が、彼女によって少しずつプラスに捉えられるようになった。
亜由美ちゃんだけじゃない。地方から上京するのってとても難しいことだと思うから、そうやって頑張っているアイドルの子たちは、贔屓目なのかもしれないけど応援したくなる。地方出身アイドルの存在は、地方住みのオタクにとっての希望なのだと思う。

*1:地方だと中心部から会場が離れているせいで余計に移動時間がかかることもあるけど

*2:ローカルアイドルの略