バニラスカイに溶けた

アイドルは劇薬だと思うんだ。

唯一無二

舞台俳優を目指していた元アイドルが、新人俳優として出演する舞台の初日。大好きだった人の新たな門出。夢を叶える日。もちろん、おめでとうって言うはずだった。けれど、現実はそんな単純なものではなかった。

 

自担がいなくなって、それから新人俳優として活動を始めて。オタクとして分かったことは「舞台俳優を目指していたアイドルの自担の活動を応援すること」と、「元アイドルである自担の新人俳優としての活動を応援すること」は、似ているようで全然違うということだった。理屈で理解していたことと、一つ一つの出来事がある度に起こる感情は、全くリンクしていないのだということに、今更気がついた。
当たり前だけど、今までは事務所の力で沢山のことから守られていたのだと実感した。それはネット媒体での写真の掲載だったり、SNSでの情報の発信だったり、公演のチケットの先行予約システムだったり。事務所というものは、タレントとオタクの間にあるクッションみたいな存在なのだと思う。時に面倒で、時にありがたい。SNSの存在は、本人のリアルタイムな状況を知ることができるけど、見たくないものまで見てしまうことがある。公演のチケットの先行予約システムがあるのとないのとではチケットの取りやすさが全然違う。ジャニーズ事務所は少し時代に沿っていない部分があるにしろ、やはり長年芸能事務所をやってるノウハウがあるんだなあと思った。
自分自身、今は手探りでオタ活をしている感覚だ。正直なところ、俳優としての活動を応援したい気持ちよりも、俳優としての初出演舞台に対するもやもやが大きすぎて、今現在の彼のことを好きなのかどうかが分からない。好きも何も、俳優としての活動を見ていないのだから、好きか嫌いか判断することができない。アイドルとしての自担のオタクをやっていたことに対しては、素直に心の底から「幸せだった」と言えるけど、新人俳優の彼のファンでいる今は「幸せだ」と言うことができない。
前の事務所を辞めてから、こんなに短期間で俳優の仕事がやってくるのは恵まれていることだと思う。ブログ等を読む限り、どうやらカンパニーでも良くしてもらっているらしい。こんなに「彼のオタクとして幸せである要素」が揃っているのに「幸せ」と思えない自分は、とことん捻くれていると思う。アイドルとしての彼に未練がある訳じゃない。自分でも自分の感情の原因が分からなくて、もやもやする。オタクなんて趣味なんだから、もっと単純に楽しめばいいのに、と思うのだけど。
彼がいなくなってから約1ヶ月後、今現役でアイドルをやってる子に担降りした。他にも好きな女子ドルがいて、その子の現場にも行った。新たに興味を持った劇団の舞台に行ったら、もの凄く楽しかった。そうやって「好き」の幅を広げてみたのだけど、それらに対して楽しいと感じると同時に、やっぱり「仲田拡輝」に代わる存在はいないということに気がついてしまった。それらとこれは、全くの別物だった。


これから先、百名さんのことを好きでいられる自信はない。もしかしたらずっと好きでい続けられるかもしれないし、明日には興味がなくなっているかもしれない。だからこそ、今この瞬間好きだと思えるものは大事にしたいし、好きだと思う感情も忘れたくない、と思う。